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Logicのアルバム「Everybody」と“1-800-273-8255”は時代に必要な音楽だと思う。

 

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Logicのアルバム「Everybody」と“1-800-273-8255”は時代に必要な音楽だと思う。

 

あいかわらず洋楽が好きな、ヤマノカホ(@kaho_yamano)です。

このブログでの洋楽記事は本当にただの趣味で、あふれる“好き!!”の気持ちを小出しにしてるんです。全面的に出すと、収拾がつかないくらい話が広がっていくので…

でも、そんな記事がお金にもつながりはじめていて、幸せです。わたしの好きなものが、もっといろんな人に広がるといいと思うんだ!

 

さて、いまさらですが、Logicのアルバム「Everybody」とその収録曲“1-800-273-8255”について書いていきます。

 

 

Logicって知ってる?

 

Logicを知ってますか?HIP-HOP好きは知ってると思いますが、ちゃんと聴いたことある人は、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)よりは減っちゃうかもしれません。

Logicは1990年生まれのアメリカのラッパーです。

 

Logicの生い立ちをざっくりと話します。

彼は黒人の父親と白人の母親のもとに生まれました。とはいっても、彼が生まれたときには、既に父親は家を出ていました。

黒人と白人のミックスである彼は、“色の黒い白人”という外見のために、黒人のコミュニティにも白人のコミュニティにも属すことができずに育ちます。写真を見るとびっくりすると思いますが、本当に顔立ちは白人の印象です。アリシア・キーズも外見からは白人的な印象を受けますが、そんな比じゃないです。

 

Logicの家庭環境は最悪で、母親はクラック中毒に苦しんでいました。Logic自身も、子どもの頃はコカインの生産と販売を行っていたようです。また、彼には異母兄弟がいるんですが、他の兄弟とLogicは肌の色がちがうために、Logicは養子のような扱い方をされていたようです。

 

そんなLogicは、2016年にRolling Stonesのインタビュー記事のなかで、こんなことを言っています。

 

“もっと若かったころ、自分の人生を忌み嫌っていた。そして、ゲームや外の世界や映画に逃げてた。でも、いま書いているとき、その瞬間は逃避ではないんだ。すごいことに、人生の一部なんだよ”

(わたしが意訳してるので、違うかもしれません)

 

つまり、“人生”から逃げる道具としてるかっていた“物語”が、今はその“物語”を紡ぐことが“人生”になってる。そして、Logicはこの創作を“audio-cinematic experience”と呼んでいます。音楽で映画のような“物語体験”を表現しているんです。

このインタビューは2015年の2ndアルバム「The Incredible True Story」が発売された後のものになりますが、このときの言葉や価値観は3rdアルバムである「Everybody」にもしっかりと表れています。

The Incredible True Story

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アルバム「Everybody」の魅力

 

そんなLogicですが、上記のRolling Stonesでの“自分の人生を忌み嫌っていた”という発言も、“audio-cinematic experience”という言葉も、この「Everybody」にとってとても重要です。

 

「Everybody」は、Logicの人生をベースに物語を進めることで“人種”についての主張を浮き彫りにしていきます。とてもコンシャスな作品です。以前書いたケンドリックやビヨンセと同じように、“個人”に焦点をあてて“マス”の問題を提起していきます。“人種問題”という点も共通点ですね。

でも、違うんです!

ケンドリックは、自身の女性問題や成功、友人を使って、黒人の現状を描きました。ビヨンセはジェイ・Zの浮気問題を使って、最終的には黒人女性の立場について描きました。どちらも、“黒人”という立場に立って、社会の格差や差別への異議を唱えています。

でも、Logicは「自分は黒人だ!」という自分の“人種的アイデンティティ”を始点にして、最終的には“個としてのアイデンティティ”“全員の平等”へとたどり着きます。「白人にも黒人にもなりたくないし、ゲイにもストレートにもバイにもなりたくない!自分は自分だ!」と言っているんです。黒人にも白人にも属せなかったLogicじゃないと、この主張の説得力はないと思います。

 

LogicとGODとAtom

 

Logicはもともと“黒人”としての意識がとても強いです。先ほど紹介した記事では、異母兄弟のことを“my beautiful black brothers and sisters”と呼ぶ一方で、白人の母親のことを“cracker momma”と呼んでいます。crackerとは、白人への差別言葉です。そして、Logicは自分のことを“biracial”(bi=2つの、racial=人種)と呼んでいる。そんな風に、彼のなかで“人種”というものは複雑に存在しています。

だから、彼は「Everybody」発売直後のRolling Stonesのインタビューでこんなことを言っています。

 

“たとえば自分自身の人種とか、そういうことをこのアルバム(Everybody)の中で言うつもりはなかった。このアルバムを作りたくなかった。…(中略)…自分の人種について投げかけた最初の歌(“Everybody”)をリリースしたとき、たくさんの人から“彼はbiracialなことすべてを押し出している”というようなことを言われたよ。……これが自分なんだ。プロとしてのすべてのキャリアのなかで、アルバムのなかで、自分の人種について触れてこなかったし、触れることを恐れてきた。だから正直、アルバムのスクリプト(脚本)を書いてみて、自分が、他の人の視点から自分の人種について捉えたかったと知ったんだ。”

(わたしが訳しているので、間違ってたらすみません)

 

この「Everybody」というアルバムは、主人公AtomとGODの会話(上記のスクリプトのこと)で進んでいきます。話は、Atom(アトム)が自動車事故で死んでしまい、辿りついた天国で、Neil deGrasse Tysonが扮するGODと話すところからはじまります。

AtomはGODから「他の人生で生まれ変わりをまっとうすることができたら、来世に行くことができる。それが、唯一の方法だ」と言われ、この提案を受け入れます。

でも、その“生まれ変わり”は、一人の人間としてではなく、すべての生きている人間一人ひとりとして、でした。だから、主人公の名前がAtom(=原子)なんですね!

そして、Atomはすべての人間として生きていかなくてはならなくなった…

という流れになっています。

 

このスクリプト、Atomが“すべての人間として生きていく”ということが、本当に大きなポイントです。BlackとかWhiteとか、アルバムでは出てきてないけどYellowとか、そういうカテゴリーじゃなくて、本当に“個=自分”として生きていく、ということに主張がフォーカスされていきます。

 

Logicは、“このスクリプトを書き上げて、はじめて全アルバム曲を通して自分が主題としたいことのインスピレーションを見つけられた”と言っています。(“Everybody”と“Hallelujah”はスクリプトよりも先に作られてます)

 

そして、スクリプトでそんな主張をして“AfricAryaN”でアルバムは締めくくられます。この“AfricAryaN”は、“Afric=黒人”“Arya=白人(アーリア人)”ということで、Logic自身のことを示しているのでしょう。この曲のタイトルについて、Logicは“黒人と白人であること、そして、その2つの面から人生を見るってこと。自分たちをどれだけ“純”だと思おうが、血の中にとてもたくさんの異なる民族性を持っているから、2つの面から見ることが文化的な進化になるんだ。”と言っています。以前よりも、Logicは自分の“白人”の部分を受け入れてるみたいですね。

 

“1-800-273-8255”とEverybody

 

上記でざっくりとアルバム「Everybody」について書きましたが、そのアルバムに収録されている“1-800-273-8255”について、もう少し詳しく書いていきます。

 

“1-800-273-8255”って、数字の羅列で「なんだろう?」って疑問に思いませんか?この番号、アメリカの自殺相談ダイアルの電話番号になります。

 

そして、この曲なんですが、スクリプトでGODが“すべての人間として生きてね”と言った直後の曲になります。

www.youtube.com

そんな曲の1st hookで、Logicは「I don’t wanna be alive.(生きていたくない) I just wanna be die today. (今日、すぐにでも死んでしまいたい)And let me tell you why.(その理由を、話させてほしい)」と歌います。そして、孤独な1st Verseへと移ります。“They say every life precious but nobody care about mine.(すべての命は価値あるものだっていうけど、だれも僕を気にしてはくれないんだ)”という言葉は、孤独の中にいる人にとっては切実ですよね。しかも、黒人にも白人にも属せずに“仲間”が見当たらない状態だったLogicを思うと、本当に切なくなります。

 

それが、2nd hookでは「I want you to be alive . (あなたに生きててほしいよ)You don’t gotta die .(あなただって、死にたくはないんでしょう?) Now lemme tell you why .(今わたしに理由を教えて)」と言葉が変わるんです。これは、オペレーターの言葉です。しかも、それまでLogicだけが歌っていたのに、“You don’t gotta die .”“Now lemme tell you why.”という呼びかけるところで、コーラスでAlessia Cara(アレッシア・カーラ)が加わるんです。そして、2nd Verseでは、Alessia Caraが歌い、生きることへと導いていきます。

 

そして、3rd hookでは「I finally wanna be alive .(それでも、やっぱり生きていたい)I don’t wanna die .(死にたくないんだ)」と死から生へと意識が移り変わります。Khalldのアウトロでは、「死ではなく、生を感じていたいんだ」と、直面した困難に向き合う覚悟を表します。

 

この曲のでは、1曲のなかで心情の変化を描ききっているところも好きですが、なによりもトップアーティストがストレートに“生きていたくない”という気持ちを歌ったことに価値があると思います。こういう真正面から主張するのは、本当にHIP-HOPの美しさだな、とも思います。

 

Everybody

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そして、日本でこのビートをジャックしたのがSKY-HIです。

こっちもすごく良いので、聴いてほしいです。

 

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まとめ

 

インタビューの訳については、わたしが訳してるので100%正確ではないです。すみません。間違いを発見したら、教えてください。

 

さて、Logicのアルバムですが、本当に魅力的です。そして、じつはアルバム最後の曲「AfricAryaN」のなかで、Killer Mikeが「次のアルバムが、彼の最後のアルバムだ」と言ってるんです。このことについて、Logicは「ジョークではないよ。けど、いまはまだ、どういうことかは言いたくない」と言っています。次回のアルバムが制作されることは確実なのでしょうが、複雑な心境です。